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ハルケギニア・西ヨーロッパ史比較【ゼロの使い魔】 [考察 ゼロの使い魔]

歴史カテゴリの西ヨーロッパ史がなんとかいいところまで終了。疲れた[たらーっ(汗)]

ヨーロッパ史概説の前に言いました。現実の歴史の理解はフィクションをより楽しめるようにするんです。
というわけでゼロ魔を題材にします。
普通のファンタジーと違い、ゼロ魔の世界はファンタジー色が少々薄い。というのも、近代ヨーロッパをモデルにしているからです。
魔法が存在するがゆえに科学技術の発展や、産業革命が起きず、また、エルフの存在のため、対外進出が叶わないまま年月経過したヨーロッパ世界、ハルケギニアとは、そんな世界だと思っています。

【聖地奪回軍と十字軍】
現実の歴史では十字軍は、成功したり、失敗したりで、純宗教的にはあまりうまくいったものではなかった。
しかしながら、交通と商業の発展、東方貿易の活発化という点で、ヨーロッパに大きな変化をもたらした。
十字軍は封建諸侯の没落と教皇権の失墜を招いたが、
経済的には、ヨーロッパ世界にとって、全体として刺激となるものだった。

一方のハルケギニア。強大な力を誇るエルフの前に、聖地奪回軍は幾度となく敗北し、最後の奪回軍の遠征から数百年が経過していう。戦費ばかりがかさみ全くメリットがない戦争。聖地の奪回は、ハルケギニアでは無謀もいいところ、迷惑も甚だしいもの。

【経済活動】
ゼロ魔のモデルは絶対王政期のフランス(ダルタニャン物語)だが、現実での17世紀のフランスは、東インド会社を設立し、イギリスと海外での覇権を争っている時代。言ってしまえば非常にグローバルな活動をしていた時代。
工場制手工業などの、資本主義の萌芽も見られる時代。

一方のハルケギニア。やはりエルフによって地理的に閉ざされた世界のため、世界に関する情報は著しく不足しており、経済活動もハルケギニア内のネットワークに基本的には留まっている。一応、エルフの住む東方との交易ルートも存在するようではあるが、大規模なものではない。おそらく、シルクロード貿易のようなもの。

工場で商品を量産する、という資本主義的な経済活動も見られない。

機械を必要としない、工場制手工業すら見られない。

そういう点では、むしろ12~14世紀の、中世後期の経済レベルに近いものがある。

【政治】
ハルケギニアでは、諸国家間の会議や条約がごく普通になされている。
現実世界での最初の事例は17世紀のウェストファリア条約において。

この辺から、近代的な主権国家となってから、それなりに時間が経っているものと思われる。

難しいのが統治体制。
どれくらい封建制が残っているのかがいまいち分かりにくい。

王権はそれなりに強いようではあるが、中央集権化した絶対主義といえるほどではない。
むしろ、地方の諸侯の力がそれなりに強いようにも見える。
国家の常備軍や貧弱で、諸侯の軍役が無ければまともに軍を編成できない。

政治機構はフランス絶対主義時代にならっているだけあって、行政、司法、議会などの官僚機構はしっかりしている。

中世後期の封建制から、絶対主義への移行期に近いかもしれない。

【平民身分】
農奴制のようなものは見受けられない。
現実での封建制のもとでの農民は領主の私有民であり、移転の自由などは持たない。

封建制を長い間、(こちら側の世界が、グローバル化してしまうくらいの間)維持してきたため、束縛はゆるくなり、それなりに人権が認められているのかもしれない。

【世界認識】
東方世界については曖昧な知識しか持たない。大航海時代以前のレベル。
おそらく、大地が球体であることも理解されていない。
黄金の国ジパングやら、プレスター・ジョンの国を信じていたヨーロッパのレベル。

現実の17世紀ヨーロッパは、インドや、インドネシア、大清帝国、日本などにも進出しており、世界が球体であることまで理解していた。

【科学レベル】
魔法があるフィクション世界では、魔法と科学が共に発達するケースと、魔法があるゆえに科学が発達しないケースがある。
ハルケギニアは後者のど典型である。

とくに工学関連の技術レベルが低い。金属精錬、加工レベルが低く、複雑な工業製品を作れない。

化学薬学 これらのかわりにポーションが発展している感がある。それなりに便利、ユニークな薬が出回っている模様。

生物学 少なくとも、頭の中に脳があることはみんな知っているらしい。

医学  魔法で治す世界では、おそらく内科と薬学は発達しても、あまり外科は発達しないものと思われる。

物理学 現実世界では、近代以降、ニュートン力学、ケプラーによる惑星の運動法則など、自然科学上の極めて重要な法則が次々と体系化されていったが、ハルケギニアには、そもそも物理学が存在するかどうかが怪しい。

ニュートン以前に物理学と呼べるものが存在しなかったように、ハルケギニアには、自然界の現象を数学的に描写する、という発想が全くない可能性がある

物理学が発達しなければ、工学は発達しない。経験則に基づいた改良は緩やかでで、限界があるからである。
熱、エネルギー、物体の性質。それらのことが分かった上で、はじめて複雑な機械というものは生み出されうる。

【文化 思想レベル】
活版印刷が存在する。書籍出版活動も盛んである。
識字率は低いようではあるが、(原作準拠)アニメ関連の描写によると、最近は平民でも文字が読めたほうが良いという流れになっているらしい。庶民でも本が読めるくらいには社会が豊かなようである。

哲学、思想に関しては、不明。
ブルジョワ階級の形成もなく、いまだ貴族階級が特権を持つ世界のため、市民革命の可能性はいまだ全くなし。貴族によるクーデターの例はあり。

【宗教】
教会の権威は、各国の内政に逐一影響を与えるほど強くはないものの、軽んじてよいほど形骸化してはいない。
宗教改革はかつてあったようだが、新教徒は少数かつ、異端として迫害されている。
一般人の信仰心は常識的なレベル。敬謙な信者というのは少ないようで、神を信じてはいるものの、坊さんのありがたい説法などは、一般的に歓迎されない模様。

【生活レベル】
食料には困らない世界らしい。平民が本を買えるくらいには豊かな世界。
料理の体系はかなり発達している。
ちなみに現実において、いわゆるフランス料理が生まれたのはわりと最近のことである。

現実世界では言うまでも無く、つい最近まで、飢餓と伝染病が蔓延し、死がはびこる世界であった。
貿易ならびに農業生産力の向上、庶民の所得向上、国家による公衆衛生、参政権の拡大、法の整備、更には福祉国家化によって、ようやく貧困や伝染病は、減少していったのである。

魔法のせいか、土地と気候のせいか、農業技術のせいか、農業生産力は高いのだと思われる。
また、国家による公衆衛生も見えないところで整備されている模様。

お洋服もそれなりにおしゃれができるらしい。しかし、平民はレザーブーツは買えても、なぜかレースの下着は買えないらしい。そんなに高いのかよ!!我々の感覚からすると値段的には考えられないことである。

【まとめ】
おそらくGDPなどは極めて低いであろうにもかかわらず、平民でもわりと普通に生活できる世界のようです。

近代初期のヨーロッパ、といよりも、封建制を維持したまま時間が経過し、緩やかに発展したもうひとつのヨーロッパ、といったところでしょうか。時間の流れは現実世界と同じようですし。
こちらの世界が300年近くかけて、工業化している間、向こうの世界はそれがないままに成熟していった、というわけです。

経済発展と工業化を妨げているのは、魔法とエルフの存在
魔法は、技術の軽視と、特権階級の維持に繋がります。現実における貴族にくらべ、魔法が使える彼らの力が強いことは言うまでも無いでしょう。
経済や工業が発達しなければ、旧来の貴族を打破する資本家階級は現れないのです。

【将来】
原作では聖戦が発動されましたが、正直、信仰よりもお金と豊かで平和な暮らし。それこそがもっとも必要なものです。
聖地が返ってきて、信仰のもとにハルケギニアの民が一つになる?信仰ってそんなにご立派なものですかね?

そしてもう一つ。コルベール先生によって、水蒸気機関が発明されました。
彼は魔法を一般に使える技術に還元することを目標としている。
蒸気機関が発明されれば、次第に金属精錬や加工精度は向上し、産業革命に至ることでしょう。
そのうち、ガソリンを使用した内燃機関も実用化できるかもしれません。重工業を中心とした、第二次産業革命の到来です。
そうなったとき、ハルケギニアはどうなってしまうのか?

私達の世界のたどった歴史は、かの世界の未来を描いたものなのか?

だとしたら、王権は市民革命によって打倒され、過渡期を経て、国民主権と民主主義に立脚した近代国民国家が成立することとなる。工業と経済の発展は対外膨張をはけ口をして求め、帝国主義の時代に至る。
帝国主義のぶつかり合いは、世界中に争いを生み、そして、大きな戦争を起こし、大きすぎる犠牲を払って終わる
払った犠牲を前にし、世界の国々は、全面戦争がなんらメリットのないものに変容したことにようやく気づく。

このように、全く同じ道を歩むのだろうか?


争いの歴史は、経済と利権をめぐる歴史です。

あらゆる行動は、経済的メリットという尺度において、決定される
政治的判断は、経済的な尺度で決定される。環境問題でさえ、経済的な尺度で決定される。
戦争も、人殺しも、経済的な尺度で決定される。

豊かさは、太古の昔から、人間を動かすほぼ唯一の原動力だと言えます。

その原動力によって、急速に、複雑高度化した世界。

ハルケギニアから見たら、信じられないほどに技術が発達した、夢のような世界。
一部の先進国では高度で豊かな生活を謳歌できる世界。

複雑高度に発達した市場経済・・・、
現代世界の成長の源泉である、自由市場経済体制

より良く、より豊かになるための、自由競争の原理。淘汰と選別。そして変化、進化、改良、改善。
そういった原理原則が支配する世界。

こうした苛烈なシステムに批判もあります。
しかし、資本主義自由市場経済よりも優れたシステムを、我々はいまだ知りません。問題点や、ゆがみがあると知っていても、結局は、このシステムが一番優れているのです。


そして、こうした高度な経済体制を構築した歴史上には、おびただしい数の死体が積み重ねられています
そして、今も、おびただしい数の貧しい人々の上に、高度な先進国家は成り立っています

より豊かに、より多く、そういった欲求の高まりが、技術を高め、企業を生み、そして欲求のぶつかりが争いを生んできた・・・。
ファンタジーというよりも、近代ヨーロッパに似た世界、ハルケギニア。まじまじとその将来を考えると、どうにも悲観的になってしまいます。

かの世界の人々が、私達の世界の歴史書を読んでしまったら、果たしてどう思うのか

争いが絶えず、加速していく世界を見て、絶望するか?
同じようにならないようにしていくか?
過程において犠牲や痛みを伴っても、最終的に発達するなら良しと思うか?

架空世界と現実世界のクロス・オーバーでは、
現実世界の現状を改めて見据えなおし、そして、架空世界についても想像をめぐらせられる、
こうした見方もできるので面白いですね。


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コメント 2

NO NAME

面白い考察です
でもレースはこっちでも機械を用いた生産が行われる以前は高価な代物ですよ
by NO NAME (2011-01-19 22:25) 

NEXT-nbls

古記事にコメントありがとうございます!!
お返事が遅れましたが、なるほど、今でこそ下着なんて量産できますが、かつては皮革製品よりレースが高価だったのですね・・・。
by NEXT-nbls (2011-02-25 22:28) 

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